Count per Day
  • 2222018/4/15からの閲覧数:

211213最新救急事情(222-2) 最近の病院前心停止論文2

プレホスピタルケア 2020/06/20日号 p87

最新救急事情(222-2)

最近の病院前心停止論文2

コロナによって死亡数は上昇

前回2021年4月号のこの紙面では「コロナによってバイスタンダーCPRの割合が減少した」という論文を紹介した。同じアメリカからは、死亡数は増えたがバイスタンダーCPRには影響を与えないという論文が出ている1)。アメリカ中西部・インディアナポリスからの報告である。検討対象の市域では2019年の1月から6月で病院外心停止数が884例であったのに対して2020年の同期間では1034例に有意に増加した。症例の年齢、男女比、目撃のある卒倒の割合、バイスタンダーによるAEDの使用割合、バイスタンダーCPR実施の割合は有意差を認めなかった。有意差を認めたのは救急隊接触時に放電可能な心電図波形であった割合が2019年と2020年で比較して2020年は低下し、現着時間が延長し、現場で死亡が確認された割合が増加し、病院で死亡が確認された割合が低下した。この結果神経学的に良好な生存退院割合も2019年に比べて2020年は低下している。
目撃のある卒倒の割合とバイスタンダーCPRの実施割合が変わらなかったことについて、筆者らは「コロナでstay homeが呼びかけられていたためだろう」としている。生存率の低下はAED放電の減少によるものと筆者らは述べているが、なぜAED放電がコロナでできなくなるかについては述べていない。

早期の気管挿管で神経学的予後は向上する

国士舘大学からの報告。病院外心停止症例では気管挿管が予後を改善するかは明らかではない。そこで日本で2014年から2017年に病院外心停止となった症例で気管挿管の有無で生存率が変わるか検討したものである2)。
対象は2014年から2017年で日本国内で病院外心停止を起こした14969例。この症例を除細動放電可能群1102例と不可能群13867例に分けた。放電可能群、放電不可能群とも「取り付きから挿管までの時間」と「神経学的後遺症」の関連を調べた。その結果、放電可能群では取り付きから挿管までの時間が伸びるに連れて神経学的に良好な生存退院率が低下していた。放電不可能群では時間と生存退院率は関連が薄かったが、グラフを見ると時間が伸びるに連れて多少は退院率が低下しているように見える。またこの論文では自己心拍再開率も検討しており、放電可能群・不可能群の両方とも時間が経つにつれて自己心拍再開率も低下していた。
挿管するなら患者取り付き後すぐ行うべき、という結論である。時間は確かに重要な判断材料である。

冬に死亡が増える

季節で死亡数が変わると聞いたことはあるだろうか。私は冬に増えると聞いたことがある。冬は寒いから。病院では出産は夜に増える、それは外敵に出産を狙われないための本能だ、などと言われていたが出産については明確に否定されている。では冬に死ぬ人が増えるのは本当だろうか。
アメリカ全土の救急部データベースを使った検討である3)。2014年の登録症例のうち院外心停止症例は12万2870例。全体の生存退院率は5.6%であった、平均年齢は65.5歳。12月と1月は病院外心停止になる人が最も多く、また生存率が最も少ない。生存率が最も高いのは6月であった。死亡率が高いのはアメリカ西海岸で低いのは南部であった。
冬に死亡が多い、南部は死亡が少ない。当然だろう。北海道で1月に外で寝ていたら凍死してしまう。

朝6時に心臓突然死が増える

冬に死亡が増えるとして、1日のうちで死亡が増えるのは夜中だろうか。論文によれば朝6時らしい。
突然の心停止に関する論文48編を横断的に検討した論文4)では、心臓突然死が最も多いのは朝で、次のピークは午後だったとしている。心臓突然死は高齢男性が病院外にいるときに多かった。生存率が最も低いのは朝6時であり、これは日内変動の結果だと筆者らは述べている。

首吊り自殺企図者の転帰

私は首を吊って助かった人を見たことがない。完全型の首吊りばかりだったためと思われる。イギリスから首吊りに関する論文が出ている5)。
対象はイギリス消防局で2013年から2018年までに登録された189例である。そのうちの50%の95例が病院へ搬送され、4例(2.2%)が生存した。除細動を試みた症例は20例(11%)であり、実際に放電できたのは3例(1.6%) だけである。1例は頸部の損傷により人口呼吸ができなかった。自己心拍再開率は全ての病院外心停止症例と有意差はなかったが、生存退院率は全体が8.4%であるのに対して2.2%と有意に低かった。
首を吊っても生き残る人がいることには驚かされる。自己心拍再開率がある程度あるのは心臓が健在な状態で窒息するためだろう。

文献

1)Am J Emerg Med 2021 Apr 27:48:191-7
2)Acute Med Surg  2021 May 1:8(1):e650
3)Medicine(Baltimore) 2021 May 7;100(18):e25643
4)Tran DMT:Nurs Res 2021 Mar 22 online adead
5)Emerg Med J 2021 Apr 30;e2020-210839


スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする