月刊消防 2021/08/01, p65
月刊消防「VOICE」
あいさつ
氏名(よみがな):新濱 秀樹(しんはま ひでき)
所属:千葉市消防局警防部救急課
出身地:千葉市
消防士拝命:平成6年4月
救急救命士合格:平成14年
職名(階級):課長補佐(消防司令)
趣味:競泳、パソコン、数学
所属:千葉市消防局警防部救急課
出身地:千葉市
消防士拝命:平成6年4月
救急救命士合格:平成14年
職名(階級):課長補佐(消防司令)
趣味:競泳、パソコン、数学
【タイトル】
あいさつ
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【本文】
本誌への投稿が依頼され、どのような内容ならば読者が気楽に読んでもらえるかをしばらく考えていたところ、消防職員を志す前まで思い返してしまいましたので、あえてこの頃のことを執筆してみたいと思います。つまらない話かもしれませんが、ご勘弁を。
高校を卒業した頃の私は、今でいうフリーターをしており、主に郵便の配達業務を行っていました。郵便物のほとんどは建物の郵便受けに配達するのですが、手渡しとなることもあります。呼び鈴を鳴らして、「○○さん、郵便です。」や「○○さん、書留です。」と述べてその場でしばらく待ち、多くの場合は一期一会というと大げさですが、相手方と初対面になります。その後に書留の場合は、「こんにちは、郵便局です。書留ですので、印鑑をお願いします。」と伝え、印鑑を頂戴した後に郵便物を渡しつつ、「ありがとうございました。」とあいさつを述べて1件の配達が終了となり、これを都度繰り返していきます。
ある真夏の暑い日、とあるお宅に配達した際に「あれっ?」と思うことがありました。それは私が、「ありがとうございました。」と述べた後に、「お疲れさまでした。」と返答されたことです。読者の皆さんにここで違和感などないかもしれませんが、当時の返答の多くは、「ご苦労さまでした。」でしたので、私はこの時、違和感を覚えたのだと思います。そしてこの日を境に、このお宅へ配達することが、なんだかよく分からないのですが、とても嬉しかったことを覚えています。
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約1年が経過して、私は消防職員の採用試験を受けました。そのときの作文試験の題材は『最近心に残った出来事』だったと記憶しています。私はこの『あいさつ』のことを回答用紙に書き、結果、現在に至っています。実は初任の頃、上司や先輩に対してこのあいさつをしていたところ、「消防は『ご苦労さま』だ!」と毎回指導を受けていました。私は懲りずにこれを受け入れませんでしたが、今でもこれを正しいと思えているのは、あの夏の日の出来事のお陰です。
さて、今日の私ですが、どちらのあいさつも相手に感謝の気持ちを伝える言葉ですから、目くじらを立てて部下や後輩を指導することはしていません。むしろ、その気持ちをしっかり伝え、かつ伝わることが大切だと思っています。近年はメールやSNSが盛んに活用され、伝達手段として文字が重要視される傾向にはありますが、やはりたった一声の『あいさつ』はとても気持ちがいいものです。私だけかもしれませんが。
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