雑誌 健康教室 2022年9月号
特集
救急処置のヒヤリ・ハットに専門家がアドバイス!
事例1 給食後にドッジボールをしたら… ●山口県在住 元養護教諭
事例2 体育大会の練習で女子生徒が口腔内を損傷 ●川原由理子
事例3 テニスボールが目を直撃 ●奈良あゆみ
事例4 げんこつで殴られ目を強打 ●横溝玲子
事例5 生徒が意識を消失 ●高等学校養護教諭
事例6 気管カニューレが抜去し呼吸困難に ●中国地方 特別支援学校 養護教諭
解説 「ヒヤリ・ハット」事例に学ぶ〜M-SHELL理論で振り返ってみよう〜 ●大沼久美子
解説 養護教諭へのヒヤリ・ハットへのアドバイス ●玉川進
事例4
眼窩底骨折
目次
症例の概要
・中学生男子
・喧嘩で右目を殴られた
・嘔吐により癌がを受診し骨折確認
・救急車で行くべきだったのか
1.アドバイス
1)骨折はしていても骨の偏位が少ない場合には症状が出ない場合があります
2)眼窩底骨折では救急の対象ではありません
2.眼窩底骨折
眼窩底骨折については応急処置アップデート第2回(2018年5月号??)で取り上げています。骨折していても骨の移動がないと眼球は正常に動きますので複視にはなりません(4-001)。その場合でも骨折部の痛みや鼻出血が起きます。
骨折だけなら手術も待機的に行いますので救急車の対象ではありません。今回は症状が痛みだけだったことからタクシーで十分と考えます。視力や視野に障害を認めた場合は救急車の対象となります。
3.こんなことがありました。
高校1年男子生徒が、野球部の守備練習中にライナー性の打球を捕球し損ね、左目付近にボールが当たってしまいました。すぐに保健室で目の見え方や、動きに異常はないか、出血はないかを確認し、その時点では異常は認められませんでしたが、目と頬に痛みと少量の鼻出血がありました。すぐに保護者連絡の上、患部を冷やしながら整形外科を受診し、検査の結果、眼窩底骨折で手術が必要と診断されました。その後視力低下などの後遺症なく卒業し 数年後に社会人として活躍している様子を目にしてほっとしました。
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