230527雑誌「健康教室」特集「救急処置のヒヤリ・ハットに専門家がアドバイス!」事例6 気管カニューレが抜去し呼吸困難に ●中国地方 特別支援学校 養護教諭

 
  • 131読まれた回数:
救急の周辺

 雑誌 健康教室 2022年9月号

特集
救急処置のヒヤリ・ハットに専門家がアドバイス!
事例1 給食後にドッジボールをしたら… ●山口県在住 元養護教諭
事例2 体育大会の練習で女子生徒が口腔内を損傷 ●川原由理子
事例3 テニスボールが目を直撃 ●奈良あゆみ
事例4 げんこつで殴られ目を強打 ●横溝玲子
事例5 生徒が意識を消失 ●高等学校養護教諭
事例6 気管カニューレが抜去し呼吸困難に ●中国地方 特別支援学校 養護教諭
解説 「ヒヤリ・ハット」事例に学ぶ〜M-SHELL理論で振り返ってみよう〜 ●大沼久美子
解説 養護教諭へのヒヤリ・ハットへのアドバイス ●玉川進 

 

事例6

気管軟化症

 

目次

症例の概要

 

・特別支援学校

・気管軟化症あり

・文化祭の練習中気管カニューレが抜けた

・当時は学校看護師がカニューレを再挿入できなかった

 

1.アドバイス

 

1)救命は気管カニューレの再挿入です

2)病院から医師や看護師が学校に駆けつけるシステムも考えてください

 

2.気管軟化症とは

 

気管の構造的異常により息を吐く時に気管が押しつぶされて息が吐けなくなる疾患です(6-001, 6-002)。構造異常の範囲は患児によってさまざまです。多くの患者では、2歳までに気管軟化症は消失します。成長に伴い気管の内腔が広がることと気管軟骨が発達し固くなることがその理由です。難治性の気管軟化症には手術により気管が潰れないようにします。

 

     

6-001

気管軟化症

 

6-002

気管狭窄のメカニズム

 

3.喉頭気管分離術とは

 

重症の心身障害児などでは、嚥下の機能が劣っているため、容易に誤嚥して肺炎を起こします。誤嚥性肺炎は致死的となりうるため、喉頭の下で気管を切断して皮膚に開口させることで、肺炎の発生を防ぎます。この手術を喉頭気管分離術といいます(6-003)。手術が誤嚥性肺炎の防止だけなら気管カニューレの挿入は必要ありません。本症例の場合は、気管軟化症を合併していたためにカニューレの挿入が必要でした。また、カニューレ抜去によって気管切開の穴も塞がるくらいですから、気管の構造異常は皮膚開口部にもあったようです(6-004)。事故でカニューレが抜去された時はすぐ再挿入します。

 

6-003

喉頭気管分離術

 

6-004

気管切開の穴が塞がる

 

4.こんなことがありました

 

私が以前、自治医科大学附属病院の集中治療室で働いていた頃、気管軟化症の子供がいました。治療中何度か気管カニューレが外れてしまい、その度に私たちが再挿入していました。全身状態が回復し、自宅に戻って数ヶ月後、親が目を離したわずかの時間にカニューレが外れ死亡したと聞きました。

 

引用

 

1)http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/kikanshi-nankashou

2)https://www.mext.go.jp/content/20200610-mxt_tokubetu02-000007673_03.pdf

コメント

タイトルとURLをコピーしました