近代消防2021/10/10 2021年11月号)p63-4
今さら聞けない資機材の使い方 (102)
車載の液体を調べてみる
北後志消防組合積丹支署
北上信人
角田陶宗
目次
著者
北上信人(きたがみまこと)
出身地:北海道北広島市
消防士拝命年:平成23年5月1日
救命士合格年:平成23年
趣味:Youtube鑑賞
角 田 陶 宗(かくたとうしゅう)
出身地:北海道小樽市
消防士拝命年:平成27年8月1日
救命士合格年:平成27年
趣味:テニス、ネットゲーム
•北後志(きたしりべし)消防組合概況
当消防組合は4町1村で構成されており、1署4支署1分遣所、職員数は117名、救急隊は6隊、救急救命士は35人(うち5名は未運用)です。(令和3年6月現在)
その中の1支署である積丹(しゃこたん)支署に務めております。
積丹(しゃこたん)町は総面積238.13㎞、人口約2000人、積丹町のマスコットキャラクターは「うにどん」でその名前からわかるようにウニが美味しくて有名です(ウニの時期は6月~8月)。夏場はキャンプ・ダイビング、海水浴などで観光客も増え(001)、救急事案や交通事故事案なども増えてきます。
001
積丹(しゃこたん)町の観光名所である神威岬(カムイミサキ)。黄色い花はエゾカンゾウ
2.車両から液体漏れ?
みなさんが出動する“救急、警防、救助”事案には車両が関係するものが毎年発生していると思います。そこで今回は車両事故などが起こった際に確認する“油漏れ”や“燃料漏れ”を確認する時に「これは何が漏れているのか?」という部分に焦点を当て、考察していきたいと思います。
3.どんな液体があるか?
さて、車両にはどんな液体が積載されていますか?見分け方はどんな方法がありますか?
最初の疑問点から確認しましょう。車両燃料といってもガソリン・軽油・ハイオクがあり、燃料以外にもウォッシャ―液・エンジンオイル・アドブル・クーラントなどがあります。
今回は先述した7種類の液体について考察していきます。
方法は色・臭い・粘性で確認する方法がベストではないかと考え、実際に確認してみました。
当支署にあるものをペットボトルに入れて色を確認し、さらに紙ウエスにつけてどのように見えるかを確認しました。まずはクーラントです。写真002, 003を見て下さい。
002
クーラント3種類
003
クーラント3種類【ウエス】
002はクーラント3種類の写真で左から緑・赤・青となっています。現場で確認する際にウエスに液体を付着させ、確認すると思いますので003では実際にウエスに付着させているものを撮影しました。
ペットボトルに入れた状態だと色味に濃さがありますがウエスに付着させると同じクーラントとは思えないほど色が薄くなります。
次に004, 005は燃料としてガソリンと軽油の写真になります。
004
ガソリン・軽油
005
ガソリン・軽油【ウエス】
003で見たピンク色のクーラントの色がペットボトルに入ったガソリンの色と近似しているので間違えやすいのではないかと感じました。005でもわかるようにガソリンと軽油はウエスに付けてもほぼ透明で見分けづらくなっていました。
次に006はエンジンオイルの写真です。
006
エンジンオイル
使用していくとどんどん黒ずんでいきます。
車両にはギアオイルやミッションオイルなどその他のオイルもありますが当支署に配備しておらず、種類もたくさんあるため、エンジンオイルのみで写真を撮りました。
最後に写真007, 008はウォッシャー液と尿素アドブル(R)の写真です。
007
ウォッシャー液
008
尿素アドブル(R)
ウォッシャー液は救急で誤飲する事案があることは知られていますが何が危険かというと含有するメタノールにより失明する恐れがあるためです。
尿素Adblue(R)は色が無色透明で無臭ですが物によってはアンモニア臭がするものもあります。
車両ではHINOとTOYOTAの車に使用されています。
以上のものを一覧で見れるように表1にまとめました。
表1
車載液体の比較一覧
4.まとめ
私が消防に入った当初は、交通事故の際の油漏れや燃料漏れに対する知識がなく、色で見分けられるのはウォッシャー液ぐらいでした。そういった方でも鑑別できるようにと資料としてまとめの表を作成しましたので、今後の活動に生かしていただければ幸いです。
また、この記事を読んでくださった方はぜひ、ご自身で色の確認やゴム手袋をはめて触ってみるなど実際に体験して頂ければさらに理解が深まると思います。
最後にまとめの表をデータ(PDF)で欲しい方や質問がある方がいらっしゃいましたらお手数ですがが下記のメールアドレスまで連絡をお願いいたします。
syakotann_syoubouあyahoo.co.jp
(あ を @ に変更して下さい)
コメント