月刊消防 2026/01/01, p40-43
ロック機能付モバイルフォールアレスター
目次
1はじめに
はじめに、岐阜県羽島市についてご紹介させていただきます。
羽島市は、岐阜県の南部に位置し、東海道新幹線岐阜羽島駅と名神高速道路岐阜羽島インターチェンジを擁する高速交通の要衝です。名古屋市中心部までおよそ10分という交通の便に優れた地でありながら、木曽・長良の両川の恵みや、四季折々の風情も味わえる町でもあります。(図1)
毎年5月3日に行われる竹鼻まつりは、江戸時代を起源にもつ豪華絢爛な山車が町内を練り歩き、きらびやかな大幕・見送り幕をまとい、からくり人形や子どもの手踊りなどが奉芸され、一大絵巻を繰り広げて盛大に行われます。ぜひお越しください。(写真1)
さて、私たち羽島市消防本部(以下、当消防本部という。)が管轄する面積は53.66平方キロメートル、人口は約6万7000人が居住しており、この地域の安全を、1本部1署2分署、職員数約85名で守っています。
当消防本部では、羽島市救助隊規程に基づき救助隊を配置しており、若手職員が「憧れる」救助隊になるためには、救助隊員資格教養プログラム(以下「教養プログラム」という。)に基づいた、教育及び訓練を修了する必要があります。
教養プログラムは、安全管理や災害救助対策等の座学、救助器具取り扱いや救助操法の実技に分かれており、救助工作車に積載してある資器材は教養資料を作成し、隊員の活動の統一を図っています。(図2)(図3)
今回は、教養資料の中からロープ高所作業において隊員の墜落防止措置に使用する、「ロック機能付モバイルフォールアレスター」について紹介させていただきます。

図1岐阜県羽島市の位置について

写真1竹鼻まつりについて

図2教養プログラムについて(座学)

図3教養プログラムについて(実技)
2ロック機能付きモバイルフォールアレスター
労働安全衛生規則が改正され、「ロープ高所作業」を行う場合、ライフライン(以下バックアップロープ)の設置、特別教育の実施などが義務付けられました。このロック機能付モバイルフォールアレスターは、バックアップロープに設定し、墜落、滑落及びコントロールを失った降下を停止させる器具で、墜落時に身体にかかる衝撃荷重を吸収するショックアブソーバーを有している資器材です。
(1)各部の名称

写真2アサップロック
(写真2)
(アサップロック)
①フレーム②ジャミングローラー③アームの軸④接続ピン
⑤ネジ⑥コネクションアーム⑦セーフティキャッチ
⑧ロックボタン⑨アーム

(写真3)写真3アサップソーバーアクセス
(アサップソーバーアクセス)
⑩ストラップ(作動荷重2.5kN、破断荷重22kN)
⑪セーフティステッチ⑫ストリング
(2)服装・準備

写真4 胸部アタッチメントポイントに装着
使用時は、フルボディハーネスの胸部アタッチメントポイントに装着する。
※カラビナの向きは、障害物等に安全環が接触し緩まないよう、隊員側に向くよう設定しておく。
(3)使用方法

写真5 バックアップロープにフレーム内に通す
①セーフティキャッチ2枚を開き、バックアップロープをフレーム内に通す。
※ロックボタンが設定されている状態で、セーフティキャッチを開くと破損するため禁止する。

写真6 ジャミングローラーにロープを当てる
②セーフティキャッチを閉じ、ジャミングローラーをロープに当てる。

写真7 アサップロックをできるだけ高い位置に移動する
③墜落時、落下係数をできるだけ小さくし、身体にかかる衝撃荷重を軽減させるため、アサップロックは常に高い位置に移動させておく。(登はん時は、ロックボタンを設定する。降てい・降下時は、ロックボタンを設定しない。)
※本体が自重で下がってくることがあるが故障ではない。

写真8 ロック機能解除方法について
④ロック機能が作動した際は、アサップロックをロープ側に傾け上方に移動させることで、ロックが解除される。(カチっと小さな音が鳴る。)

写真9 本体の向きを誤って設定する
⑤ロープに設定する際、本体の向きを誤って設定するとロックが作動せず、死亡事故に繋がるため注意する。
(4)取り扱い上の注意点
①大きな衝撃や墜落を受けた後は使用しない。
②アサップソーバーアクセスのカバー内にあるセーフティステッチのミシン目が切れている場合は使用しない。
(5)点検整備
①本体に亀裂、傷、変形、摩耗及び腐食がないか。
②セーフティキャッチのスプリングが機能するか。
③アブソーバーとコネクションアームのネジが緩んでいないか。ジャミングローラーの汚れ、歯のすり減り及び1本以上の欠けがないか。
3アサップロックを用いた安全管理
高所での訓練時、墜落事故から隊員を守るため、安全マットを設定し訓練を実施していますが、三連はしご全伸てい約8.7mの高さから安全マット上に墜落して負傷しないとは言えません。安全マットはあくまでも低所からの墜落措置であり、高所から隊員を守るためには、隊員を地面に墜落させない措置を講じなければなりません。そのようなことから、三連はしごを使用した訓練時にも、安全管理のためアサップロックを活用しているので紹介します。
①事前に確保ロープを訓練塔に設定。

写真10 事前に確保ロープを設定
②確保ロープに一定の展張力が無ければ、アサップロックの動きが悪いため、端末等をロープバックに固定し展張。

写真11 確保ロープ端末をロープバックに固定
③展張が不十分な場合は、隊員が確保し展張。

写真12 展張不十分のため隊員確保
④アサップロックを設定し、ロックした状態で登ていする。※登てい時はアサップロックが自重等で下がらないためにロックをする。

写真13 アサップ設定後、登てい
4おわりに
今回、当消防本部が取り組んでいる「教養プログラム」の一部を紹介させていただきました。組織力の維持向上には、職員の教育は必要不可欠であり、特殊な現場で、多くの資器材を取り扱う救助隊員の指導には、指導内容に相違がないように教育しております。



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