喉頭展開

 
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基本手技

喉頭展開

一度過去に掲載した喉頭鏡とマギール鉗子の使い方を、新しい写真を使って再び解説する。
救急隊員と接すると、喉頭鏡の使い方を教えてほしいという要望が多く聞かれる。バッグマスクはもちろん大切なのだが、それは消防学校でも習うし署のなかでもうまい人が必ずいるので、自分達で練習ができるらしい。しかし喉頭鏡に関しては使う頻度が限られている上、喉頭異物など生命に直結する場合があるので、いざという時のためにしっかり覚えておきたいというのが要望の理由である。
喉頭鏡の基本はわずかである。頭を上げること、喉頭蓋の根元に喉頭鏡の先を進めること、手首を返すことなく向こう側に喉頭鏡を押しやることである。しかし最も大切なことは「落ち着くこと」。あとの基本は些細なことである。

月刊消防(東京法令出版)に講義執筆をお願いしました。掲載誌(2003年4月号)と一緒に
星川慎吾(写真)炭谷貴博(講師)横山正志(写真)
南宗谷消防組合中頓別支署
2003-4-2 wed 9:00


この頁では佐久総合病院 麻酔科 今井秀一 先生の丁寧なアドバイスをいただいております。この場を借りて感謝申し上げます。

興部進歩の会第12回勉強会(OPS#12)in雄武
平成15年3月29日(土)
喉頭鏡とマギール鉗子

前段として、喉頭鏡のチェックは必ず行う。喉頭鏡のハンドルにブレード(口の中に入る湾曲した金属)を付けて開き、ちゃんと電球が点灯するか見る。電球がつかない場合、電池がないか、電球が弛んでいるか、ブレードの接触が悪いかである。ファイバー型の喉頭鏡は電球がグリップの部分にあるので、ブレードを開くことによって電球が点滅するか確認する。
たまに電球が緩んでいて口の中に落ちそうになる。電球の弛みは必ず確認すること。

1.傷病者の体格に応じたブレードを選定してハンドルに取り付ける。

2.患者の頭に枕などを入れて頭を高くし、軽く後屈し下顎を挙上させる。
(スニッフィングポジション)

病院では、枕よりも大きめのバスタオルをたたんだものを使用しています。この方が手近に存在し多用途です。

3.喉頭鏡は左手で握る。握る部分は喉頭鏡の根元近くを持って、親指(拇指)はハンドルの真上に置く。

4.開口は指交差法で開口する。

5.ブレードは右口角から挿入して、舌を左側に完全によせる。

6.喉頭蓋が見えたら、ブレードの先端を喉頭蓋谷に進める。
8.ブレードの先端を舌根にかけ、舌全体をブレード全体で包み込むようにして、ハンドルを持ち上げ*、やや右後方から正中に向けてすすめる。

*ブレードの先端で舌根をめくりあげる(喉頭鏡を回転させる)動作ではなく、ブレード全体をハンドルの長軸方向に平行移動させる気持ちで行なう事。こうすると歯を折らない

*うまくいっている場合は、視野の中に喉頭蓋先端が起き上がってきて、その先に声帯を含む喉頭の全貌がみえてきます。
ただし、太った方、猪首の場合これが見えずに苦労&危険な思いをする事があります。

↑気道閉塞は舌根沈下によっておこります。この舌根を確実に除けることが喉頭展開のこつです(この図も今井秀一先生提供です)

7.異物を確認したら視線を外すことなく補助者からマギール鉗子を受け取る。

8.マギール鉗子の持ち方は、親指(拇指)と薬指(環指)を入れて、人差し指(示指)は支点とする。

9.マギール鉗子は、目標とする異物に達するまで閉じておく。

10.補助者が右口角を手前に引くと鉗子を挿入しやすい。

実施上の注意点

1.喉頭鏡は口腔内挿入後、こね回したりしない。

2.口腔内にブレードが挿入されている間は、心マを中断する。

3.ブレード挿入で、急に嘔吐をすることがあるので、吸引器を準備しておく。

4.心電図モニターを注視する。

5.定期的に点検する。

ちょっとしたコツ

1.嘔吐が懸念される時には補助者が甲状軟骨を下側(背側)に押さえつける(セリック法)

2.喉頭が見えづらい時には補助者が甲状軟骨を患者の右上に引き上げると見えやすくなる。


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