190611応急処置アップデート(15)魚骨

 
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基本手技

雑誌 健康教室 2019年6月号

応急処置アップデート

魚骨

目次

ポイント

  • 1.多くは見える場所に引っかかっている
  • 2.無理して飲み込むのは危険

今回は魚骨です。魚の骨を喉に引っ掛けた人は多いと思います。今は給食の献立で骨を引っ掛けるような魚が出てくることはまずないとは思いますが、弁当や自宅で骨を引っ掛ける可能性はあります。

昔から骨が引っかかったときはご飯を飲み込むと言われていましたが、実は危険な行為ですのでやめて下さい。

1.引っかかっている場所

口から喉への構造を示します。骨が引っかかるのは扁桃から喉頭蓋の間の空間です。引っ掛けた本人は場所がわかりますので、指で場所を指し示すことができます(図1)。

 

2.骨の取り方

児童に、どこに骨が引っかかっているか聞きます。口を開けさせて口の中を覗き込みます(図2)。扁桃の脇の方に引っかかっている場合はこの時点でピンセットを用いて取ります。もっと奥、喉頭蓋の近くなら、児童の下をガーゼなどで包んで、舌を引っ張り出す(図3)と喉頭が持ち上がってきますからそれで骨が見えるようなら取ります。それでも見えないようなら舌圧子を舌根部に置いて舌根を押し下げればかなりの視界が得られます(図4)が、人によっては嘔吐反射を引き起こすため、ビニール袋を用意しておきましょう。

 

 

 

3.どうしても取れない場合は耳鼻科へ

この方法でも骨が確認できない場合(図5)や見えていてもピンセットが届かない場合には耳鼻科を受診します。耳鼻科では、骨が深い場所にある場合は内視鏡を使って場所を確認し専用のクリップを使って簡単に骨を取ってしまいます。

骨が咽頭や食道に刺さっている場合は、時間とともにその部位が腫れてきますのでなるべく早いうちに病院で骨を取ってもらう必要があります。

 

4.ご飯を飲み込むと炎症を起こす可能性がある

私も小さい頃はご飯を飲み込めと言われてやっていましたが、それで取れたような記憶はなく、多くはケーケーと喉を詰めて息を吐き出しているうちに骨が出てきたような気がします。

ご飯を飲み込むことによって骨に圧力がかかり、骨をさらに深く刺す可能性があります。咽頭や喉頭の魚骨は確認しやすく取れやすいので大事に至ることはありませんが、食道の場合は食道炎から縦隔炎になり死亡した例も報告されています(図6)

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