月刊消防2019/1月号 voice
千葉市消防局 布施 隆将
布施 隆将(ふせ たかまさ)
昭和62年10月3日生まれ
出身地 千葉県市原市
平成18年4月 千葉市消防局に入局
平成26年3月 救急救命士国家試験に合格
平成30年4月 千葉市消防局若葉消防署勤務
趣味 旅行・ドライブ
私には大きな夢があります。それは、 消防士という仕事の素晴らしさを広く伝え、消防士を「 子供がなりたい仕事ランキングで1位」にすることです。
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私が、この夢を持つようになったのは、 1件の救急出動がきっかけでした。「47歳男性、腰部痛」 との指令内容で出動し現場へ到着すると、 男性は全身冷汗でショック状態でした。 救急車内へ収容した直後に心肺停止へと容態変化、 初期心電図波形は心室細動で除細動を実施し、 その後は全力で心肺蘇生を継続しつつ病院へ搬送しました。 病院到着後、自己心拍再開。そして、 半年後には自分が胸骨圧迫をした男性と握手を交わし、 会話をすることができました。その際に、男性の子供から「 僕は将来、救急隊になる」 と目をキラキラさせながら言われました。この言葉を聞いた時に、 救急隊という仕事に対する責任感を感じるとともに、 将来消防士に憧れ消防士を目指す子供を1人でも増やしたいと考え るようになったのです。
では、どうすれば子供達が消防士に憧れるのか、 私は3つの事を実践しています。1つ目は「 救命講習会や各種フェアなどで子供と接する機会では、 色々な話しをしてコミュニケーションをとること」2つ目は「 市民と触れ合った時の声を大切に聞くこと」そして、 3つ目は最も重要なことで「消防が好きだという気持ちを持って、 楽しく仕事をすること」です。
救急業務は大変な仕事です。 過去には外傷との入電で出動したら無理心中だったとか、腹痛との入電で出動したら既に新生児がいて母親はショック状態 、しかも産婦人科の受診歴もない、 など様々な驚きの現場がありました。しかし、 やりがいを感じることも多い仕事です。 自分が胸骨圧迫をした男性との握手は勿論、 救急車内で分娩対応をした際の、 不安な気持ちをいっぺんに打ち消す新生児の泣き声や、「 救急隊さんが来てくれたから症状が良くなってきたよ」 と言われたことなど、例を挙げたら切りがありません。これは、 多くの消防職員の方々が感じているはずです。
大変な仕事であっても、 消防が好きで就職先に消防を選んだのなら、 辛い勉強や訓練も耐えられます。消防の仕事が好きであれば、 自分自身の成長がモチベーションを高め、 更にどんどん高いレベルを目指したくなります。 1人がどんどん高いレベルに楽しそうに挑戦をしていく姿を見て、 感化された仲間が集まり、 チームとしてのレベルアップが図れます。
今回、私がこのような原稿を書くことになったのも、 心肺停止の現場へ出動した際にヤンカー型カテーテルを使用し口腔 内を吸引したところ、視界不良で吸引しづらかった経験から、 職場に戻った後に仲間と話し合い、 カテーテルの先端にLED型ライトを装着したらどうかと、 全国救急隊員シンポジウムで発表した事がきっかけです。 消防が好きだという気持ちと、 どのようにすればより良くなるのか仲間達と一緒にレベルアップを 図れたことが、今回の投稿に繋がったのです。
私は、これからも自信を持って「消防が好きだ」と言い続けます。 消防の仕事が大好きな仲間達と、常にレベルアップを目指して、 全力で現場活動に勤しみます。そして、私を見ている子供達に、 消防の魅力を精一杯伝えていきます。
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