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201127最新救急事情(217-1) 新型コロナウイルス感染症のワクチンが欲しい

プレホスピタルケア 2020/8/20日号 p88

最新救急事情(217-1)

新型コロナウイルス感染症のワクチンが欲しい

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新型コロナウイルス感染症は国を挙げての封じ込めに加えて、高温多湿を嫌うコロナウイルスの特性から、現在はかなり下火になってきている。しかしウイルスがこの世から消滅したのではない以上、寒くなってくればまた患者が増加するだろう。過去の例では第一次世界大戦時に世界的流行を起こしたスペイン風邪では3回の流行を起こしていて、流行のたびに死亡率が高くなっている。
相手は感染症なので、個人が感染を防ぐには免疫を獲得するしかない。感染症の影響が非常に大きい場合にはワクチンが開発されてそれが投与される。新型コロナ感染症は患者数も疾病が与える社会的影響もとても多いため、ワクチンの開発が急ピッチで進められている。

ワクチンとは

外から体内に何らかの物質を与えて体内で感作させることで、次に目的となる感染源が体内に侵入してきた時に免疫の力で感染を防ぐ仕組みである。史上最も成功したワクチンはイギリスのジェンナーが始めた天然痘ワクチン(種痘)であり、これによって天然痘ウイルスは研究室内に存在するのみとなった。現在最も馴染み深いのはインフルエンザワクチンである。

ワクチンには、麻疹のように接種によって一生感染しなくなるものもあるが、インフルエンザのように感染するもののある。しかしインフルエンザにしても、予防接種しておけば症状は軽くなり、病悩期間は短縮できる。新型コロナが怖いのは重症化して死亡するからで、重症化だけでも防げれば大成功だ。

ワクチンの作り方

体内に何を入れるかでワクチンは分類される。生きている弱毒種を使うのが生ワクチンで、ポリオ、麻疹などが該当する。一度の接種で強力な免疫効果が期待できるのだが弱毒化するまで時間がかかる。不活化ワクチンは細菌やウイルスの一部を使い病原性を消したもので、生ワクチンよりずっと安全だが効果も弱い。インフルエンザが該当する。新型コロナは喫緊の脅威であり、短時間でワクチンを完成させる必要があるため、不活化ワクチンの開発が主流である。現在注目されているのは遺伝子工学を用いてコロナウイルスに関連する遺伝子を体内に投与する方法で、新型コロナが自己複製を行う時に作るDNA(デオキシリボ核酸)やmRNA(メッセンジャーリボ核酸)が試みられている。

ワクチンを市場に出す難しさ

エイズにはワクチンがない。過去40年研究し続けているのに、である。ワクチンの作成はそれほどまでに難しい。ワクチン候補を待つ障害は、物質の決定と人体への影響の二つに分かれる。

(1)抗原となる物質の設定

不活化ワクチンを作る際には、人体に悪影響が少なく免疫を獲得させる物質を見つけなければならない。同じコロナウイルス感染症であるSARS(重症急性呼吸器症候群)のワクチンができていれば応用は可能だったのだが、SARSは患者数が少ない上に発症から半年で封じ込めに成功したために、ワクチンの開発は行われなかった。

(2)臨床試験

動物実験で不活化ワクチンの有効性が確認されても、ヒトでの有効性・危険性の評価が待っている。ワクチンでも薬剤でも、臨床試験は3つの段階を通って市場に出て行く。第I相試験では基本的な効果と安先生を、第II相試験では接種量や接種間隔・接種回数・接種経路を、第III相試験では実際の使用条件(新型コロナの場合は流行地区の住民に投与)での効果と副作用を確認する。莫大な費用と時間をかけても、この3つの試験を通るワクチンはほとんどない。エイズワクチンは第III相試験まで到達したものは複数あるもののその壁を乗り越えたものはない。

現在のワクチン候補

物質の設定はどこの国でも平等だが、臨床試験は患者が多い方が有利である。そのため現在世界をリードしているのは中国で、5種類のワクチンの開発を進めており、そのうち3種類が臨床試験入り、1種類はすでに第II相試験に入ったと報道されている。アメリカのファイザーもドイツ企業と組んで間も無く第II相試験に入る。一方日本では東大、阪大、国立感染症研究所に加えて田辺三菱製薬や塩野義製薬でも開発に着手しているが、第I相臨床試験に入るのは早くても8月とアナウンスされている。

ワクチンなしでは東京オリンピックは難しい

致死率の高い感染症は感染力が弱く、致死率の低い感染症は感染力が強い。死亡率の高いエボラ出血熱やかつてのエイズは血液からしか感染しないのに対して、ノロウイルスは吐物の湯気からも感染するが健常人が死亡することはまずない。新型コロナは初めて中国から死亡率が出た時には致死率は2.8%とされていた。現在では0.2%程度とされているが、若年の不顕性感染患者が多いことから、実際はもっと低くなるだろう。

それでも新しい病気であり、ヨーロッパやアメリカで多数の死者が出ていることから、決して無視のできない病気である。またコロナウイルスはもともとありふれた風邪の原因であり、インフルエンザウイルスと構造的に類似していることから、今年年末から来年の春にかけてまた流行を起こすことは十分想像できる。さらに東京オリンピックの時期は南半球は冬であって、そこで流行が起こっている可能性もある。IOCはワクチンに依存しないで来年夏に東京オリンピックを開催したい1)ようだが、現実問題としてワクチンなしでオリンピックの開催は難しいだろう。

引用

1)毎日新聞2020年4月29日報道

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