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221007救急隊員日誌(214)モチベーションとやる気

月刊消防 2022/03/01, p70
 
 
 
空飛ぶクルマ
 
 
 
 
「早く当務終わらないかな」「書類がたいへんやから災害は他の班の時にしてほしいな」なんてことを考えながら仕事をしていないだろうか。ネガティブな状態ではアイデアも生まれず、仕事の質も下がってしまう。モチベーションは職場の雰囲気やチームのメンバーにも影響し、生産性にも大きく関わる。

「ゆずらない力」の著書で心理カウンセラーの高見綾氏の定義によると、『やる気』とは、私たちが精力的に動こうとする時にエネルギー源であり、『モチベーション』は行動しようとする動機や理由になるものである。氏によると「『モチベーション』が高いので、『やる気』が出る」のである。



私と一緒に勤務している救急隊員で仮眠中に出動指令がかかると寝ぼけたままで救急出動し、救急活動のスイッチが入らない隊員がいた。出動までの準備が遅く、指令書にはっきりと目標物が書かれているのにも関わらず、消防署から現場までのルートがイメージできない。救急現場で隊長の指示は聞いているが、行動が遅い。特にPPE(個人防護具)の準備の遅れは、一刻を争う救急活動では取り返しのつかない事態を引き起こす可能性もある。隊長である私も一緒に働く他の隊員も、口を酸っぱくして指導していたのだが改善されないため、これは人事案件だなと思っていた時のこと。

ある深夜に搬送した傷病者の家族からお礼状が届いた。「深夜にも関わらず、母(傷病者)への対応、家族にまで思いやりの気持ちで終始対応して頂けた事に感謝申し上げます」と書かれていた。その隊員にお礼状を見せると、喜んでコピーを何部も取り始めた。聞くと、部屋のあちこちに飾っておくのだという。

その日から隊員は変わった。休みの日に車で走ったり、トレーニングでランニングする時、目標物を覚えたり、救急車が通れる道を確認しながら走るようになった。手持ちの地図やWEBの地図を使って、目標物や狭隘な道路、消火栓や防火水槽などを調べて地水利ノートをアレンジして作り始めた。以前は無視していたアドバイス、例えば感染防止衣や手袋の置き方を言われた通り実践するだけではなく、自分で考え工夫するようにもなった。

「期待された」ことで「その気持ちに応えたい、期待を裏切りたくない」というモチベーションが生じ、それがやる気に繋がった。やる気や行動は、外から与えられるものではなく、自分で考えて理解しないと湧き出てこないものである。

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