月刊消防 2022/05/01, p86
月刊消防「VOICE」
コロナ禍で出会った43歳の心疾患患者
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151227森山靖生(留萌消防)自分の体は自分が一番わかっていない
OPSホーム>OPSインタビュー>151227森山靖生(留萌消防)自分の体は自分が一番わかっていない151227森山靖生(留萌消防)自分の体は自分が一番わかっていない氏名 森山靖生(もりやまやすお)所属 北海道留萌消防組合消防本部年齢 51...
221214_VOICE#76_コロナ禍で出会った43歳の心疾患患者
月刊消防 2022/05/01, p86月刊消防「VOICE」コロナ禍で出会った43歳の心疾患患者名前 田部 達也よみがな たなべ たつや所属 尼崎市中消防署三和分署出身地 兵庫県尼崎市消防士拝命 平成8年4月救命士合格 ...
消防士を拝命して25年。先輩方のご指導の下、平成22年に念願の救急救命士となり、専任の救急隊員、隊長として寒暖、昼夜を問わずに救急出動する日々。
喫煙習慣があり、機会があればお酒もたしなむ。特段、体調管理に気を遣っていたわけではないが、深夜特殊業務者が行う健康診断結果表の*(印)はいつも全て正常範囲。
43歳 まさかそんな私が傷病者になるとは・・・。
令和2年の大晦日、いつものように出勤し、救急隊長として救急出動を10件、少し遅めの夕食を摂っていた際、「ブーブーブー」と救助出動を知らせる予告トーンが鳴った。管轄区域の共同住宅。6階に住む30代男性から「自宅トイレから出られない」との119通報で救助隊、消防隊とともに我々救急隊が急行。
資器材を携行し、階段で共同住宅の6階へ駆け上がり、「階段で6階はきついなぁ」と思いつつ玄関前に到着。すでに救出完了との無線連絡があり、安堵したのも束の間、息があがって治まらず、「何かがおかしい」と思ったときに強烈な胸の絞扼感が出現した。
上司に状況を伝え、自隊の救急車内で心電図モニター解析。ST変化はないが二段脈のような波形が観られた。上司から医療機関受診を勧められたが、「すぐに治まるだろう」「勤務に支障をきたしたくない」という思いがあり、「今しばらく様子を見させてほしい」と丁重に断った。
帰署後、モニター誘導から12誘導心電図に切り替え、継続観察をしていると、左右の奥歯に重たい痛みが出現し、v2・v3でST上昇を確認。教科書通りの放散痛と心電図異常。心筋梗塞であることを覚悟し、循環器対応の医療機関へ救急搬送してもらった。
結果は「急性前壁心筋梗塞」。そのまま緊急PCIカテーテル術を施行。ステント留置され2週間の入院加療が必要との診断がなされた。
カテ室内では担当医が「DC用意して」と看護師に。そして私に「今から血栓を取り除き血流を再開させますので頑張ってください。」と優しく声を掛けられた。先生の優しい声掛けでの安心感とは裏腹に「DCって心臓止まるんちゃうの? VFになんの??」と恐怖を感じ複雑な心境だった。
無事に緊急カテーテル術が終わり、2週間の入院加療後に軽快退院となり、現在は救急隊として職場復帰している。
これまでの43年間、病気には無縁だった。
令和2年の大晦日から救急搬送され、令和3年新しい年を救急車内で迎え、一年の最初のイベントが緊急カテととんでもない正月の幕開けとなった。
人生初の入院生活は「コロナ禍・面会厳禁」、誰とも喋れないことがこんなに辛いものかと寂しい2週間を過ごす羽目に・・・。
皆さん、自分は健康で病気には無縁だと思っていませんか。恥ずかしながら私は思っていました。
健康であってこそ組織に貢献できることを改めて思い知らされた経験でした。
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