月刊消防 2025/05/01, 47(05)通巻551、p80
月刊消防「VOICE」
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「想定外を想定内にするための創意工夫」
私たちの生活や仕事の中で、想定外の事態は常に発生する可能性があります。特に、消防の現場では、予測できない状況に直面することが多く、その対応力が求められます。そこで重要なのが、「想定外を想定内にするための創意工夫」です。この考え方は、柔軟な思考と創造的なアプローチを通じて、予測できない事態に対処する力を高めることを目的としています。
まず、想定外の事態に備えるためには、想定訓練が不可欠です。人は想定外のことが起こると思考が停止し、冷静な判断力を失うことがあります。そのため、職場では様々なシナリオを想定し、訓練を行います。加えて、私が日頃から工夫していることがあります。それは、日常生活において、最悪の状況を想定しておくことです。例えば、通勤中に目の前で交通事故が発生し、多数の負傷者が発生、車両1台が炎上し、車内に子供が閉じ込められている…その時、自分はどのように行動するか、現場活動をイメージし、自問自答を繰り返し、様々なパターンを考えることで現場での対応力を高めることができ、想定外の事態が発生した際にも、冷静に対処できるスキルが身に付くと考えます。
また、チーム内でのコミュニケーションも創意工夫を促進するために不可欠です。現場での経験やアイデアを出し合うことで、多角的なアプローチが生まれ、柔軟な対応が可能になります。過去にPA連携出動した際、浴槽内の傷病者をスムーズに救出することができませんでした。そのため、安全に救出するための方法を隊員同士で意見を出し合い、検証した結果、テープスリングと廃棄する消防ホースを組み合わせた資器材を考案し、創意工夫をしてより効果的な救出方法を確立することができました。新しいアイデアを試す際には失敗がつきものですが、失敗を恐れずに学びの機会と捉えることで、挑戦する文化を育てることができます。想定外の事態に直面した際、従来の方法に固執せず、失敗から得た教訓をもとに、新しいアプローチを試みることによって、成功を収めることができるかもしれません。
最後に、創意工夫を継続するにはエネルギーが必要ですが、その過程を楽しむことができれば、より良い住民サービスの提供につながります。また、過程を通じて達成感を感じることで、チームの連携も深まり、思いやりを持って仕事に取り組む姿勢が育まれます。さらには、創意工夫は時代に合わせて少しずつ変化することになり、組織の柔軟性を高め、成長していくことにもつながります。チーム全員の視点を大切にし、新しいアイデアを生み出し、実行に移すことで、組織全体の成長につながっていくと信じています。
これからも、災害から人命を守り、地域の安心と安全を確保するため、「想定外を想定内にするための創意工夫」を続けて行きます。
名前:松本一輝(まつもとかずき)
所属:山口県 岩国地区消防組合中央消防署第3中隊救助小隊2分隊
出身地:福岡県福岡市
消防士拝命:平成19年4月1日
趣味:ゴルフ、釣り
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